『悪の花[原題]』
韓国での放送時期:2020年7月~9月
キャスト:イ・ジュンギ,ムン・チェウォン,チャン・ヒジン,ソ・ヒョヌ 他
脚本:ユ・ジョンヒ
監督:キム・チョルギュ
あらすじ:
ペク・ヒソン(イ・ジュンギ)は、夫として父としてごく普通に生きていた。愛する妻、愛嬌たっぷりの娘、自ら作った金属工芸品が陳列されたきれいな工房。全ての日常が完ぺきに平凡だった。
ある日、ヒソンの誕生日パーティー中に、刑事である妻チャ・ジウォン(ムン・チェウォン)は緊急の呼び出しで児童殺人未遂事件を調べることになる。
そして、同じ事件を追っていた記者のキム・ムジン(ソ・ヒョヌ)にヒソンの工房を紹介し、ムジンは彼の工房を訪れるのだが、お互いの顔を見た2人は驚愕する。
実は、ヒソンには誰にも知られたくない過去を持っていた。
もし14年間愛してきた夫が、血も涙もない連続殺人犯に疑われたら?
愛すら演じていた男とその実態を疑い始めた妻。
背を向けたい真実の前に立ち向かった2人の感情を描いた作品。
『悪の花[原題]』
視聴時期:20年9月30日~10月1日
レビュー:
この作品は、私の大好きなイ・ジュンギ主演ということで、日本放送を待ちきれず、思わず韓国ショップでブルーレイを購入してしまいました!
そして、観始めたら続きが気になって気になって、結局夜更かしして一気に観てしまいました!
お陰で寝不足…(笑)
ストーリーは、イ・ジュンギ演じるペク・ヒソンとムン・チェウォン演じるチャ・ジウォンの甘い雰囲気の2人から始まります。
14年経っても、こんなラブラブな夫婦いるんかい!ってツッコミたくなるほどラブラブですが(笑)、実は、ヒソンは、いい夫、いい父を演じていて、ジウォンが望む姿だけを見せていたのでした。
平穏な日常を過ごしていたヒソンですが、ソ・ヒョヌ演じるキム・ムジンが工房に現れ、ナム・スンギルという中華料理店の店主が18年前の連続殺人事件の被害者たちと同じように殺されたことにより、その日常が一変することになります。
実は、ヒソンは本当は、18年前の連続殺人事件の犯人であるト・ミンソクの息子であり、18年前に村長を殺したとして現在も指名手配中であるト・ヒョンスという人物なのでした。
そして、ヒョンスは、逃亡中に本物のペク・ヒソンが運転する車に轢かれたことにより、ヒソン家族と出会い、その後ペク・ヒソンの名前を借りて暮らすことになるのです。
ストーリーが複雑で、ちょっと頭が混乱するところもありました^^;
18年前に村長を殺したのは誰なのか?
誰が中華料理店の店主を殺したのか?
ただの模倣犯の仕業なのか?
そして、ヒョンスを車で轢いたヒソンが、なぜ昏睡状態なのか??
いろいろな事件と人物が絡み合って、最後までとても飽きさせないストーリー展開で大満足でした(*^^*)
ジウォンは、序盤でヒソンがヒョンスであることを知りますが、ヒョンスには告げず、14年間騙されていたことに怒りを覚え、彼を自分の手で逮捕すると心に決めます。
事件を追っていく中でヒョンスが犯人ではないことを知るのですが、それでも騙されていたことに変わりはないので、次第にヒソン(ヒョンス)に冷たくあたってしまうジウォン。
そして、ヒョンスとチャン・ヒジン演じる姉のヘスとの会話を盗み聞きし、その中で「一瞬たりともジウォンを愛したことはない。そういう気持ちは分からない」というヒョンスの言葉に深く傷ついたジウォンは、ついにヒョンスに別れをきりだすのでした。
ジウォンの気持ちはとても分かるのですが、それでもやっぱりヒョンスが可哀想に思えてしまって仕方なかったです…。
ヒョンスは、反社会的人格障害という障害を持っており、幼い頃から他人への感情にとても無関心でした。他人に特別な感情を抱くことはないですし、人の気持ちを考えることもできず、何か悪いことをしたとしても罪悪感を感じない、といった病気です。
そんな病気だと知っていたジウォンは、ヒョンスに本当に一度も愛されていなかったと思ってしまったのですが、本当は、初めての感情にヒョンス自身も気づいていなかっただけなんですよね…。
だからこそ、ここのシーンの2人はもどかしく、切なかったです…(泣)
恋愛に関しては、ヒョンスは中学生並み、もしくはそれ以下かもしれません^^;
ジウォンとのことを相談されたヘスも、小さい子供に諭すようにヒョンスへ優しく語りかけていましたし…。
ただ、初めての感情に戸惑っているヒョンスが少しだけ可愛くも見えました(笑)
ストーリーが進むにつれ、18年前の連続殺人事件には、ト・ミンソクともう一人共犯がいたことが分かります。
そして、その共犯は、なんと現在は昏睡状態である本物のペク・ヒソンなのでした。
作品の中で、何度もヒョンスのことをサイコパス、サイコパスと言っているシーンがありましたが、ヒソンこそ本物のサイコパスでした…。
人にケガをさせても何とも思わず、簡単に人を殺めるサイコパス…。
本当、理解不能な人物でした。
ただ、彼がそうなったのには理由があり、恐らく小さい頃から父親が医者である重圧や、母親からの過度な期待が、彼の性格を歪めてしまったんだと思います。
ですが、その辺りは、深く掘り下げて描かれていなかったので少し残念でした。
そして、そんなヒソンの犯行を知った母親は、ヒソンを止めるために衝動的にヒソンを刺してしまい、それが原因で彼は昏睡状態に陥ったのでした。
ヒソンが奇跡的に目覚めてからは、ヒソンの過去や自分達の罪、そしてヒソンが新しく犯してしまった罪を隠す為に、ヒョンスを殺そうとしたりヒョンスに罪をかぶせようとしたり、親子3人で計画をたてます。
どんどん暴走する親子たちですが、もっと酷い人たちが出てくる韓国ドラマを何本も観ていますので(笑)、この親はそこまで酷いと思いませんでした(いや、普通に考えれば十分酷い人たちなんですが…^^;)
慣れって怖い…(笑)
ダラダラと長引かせず、共犯の正体がヒソンだということをヒョンスたちが気づいた後、すぐに捕まったのも良かったんだと思います(ヒソンは死んでしまいましたが…)
ソ・ヒョヌ演じるキム・ムジンは、この暗いサスペンス作品の中で、いい緩衝材というか、箸休め的にホッとできる存在でした。
ヒョンスに監禁されたり、いいように使われたり、いろいろ不憫な人でしたが(笑)、そこがまたクスッと笑わせてくれました。
次第にヒョンスに協力してくれるようになりますし、ヒョンスとは本当いいコンビでしたね(*^^*)
ムジンとヘスの関係も良かったですが、小4からヘス一筋のムジンは凄いとしか言いようがなかったです…^^;
しかも、ラストには、ヘスは新しい場所でまた一から始める為に海外へ行くことを決めるのですが、ムジンはヘスを待っている選択をするんです。
どんだけヘス一筋なんだ!!(笑)
実際には、こんなに長いこと一人の人を想ってる男はいない気がします…^^;
ヘスは、実は、18年前に村長を殺した犯人だったのですが、村長に乱暴されそうになり、殺してしまったのでした。
ヒョンスはヘスには普通に生きて欲しくてヘスを庇いましたが、ヘスはヒョンスに罪悪感を抱きながら暮らしていました。
結局、2人の時間は18年前から止まったままだったように感じましたね。
ヘスは終盤、ヒソンにジウォンだと勘違いされ刺されてしまった時点で亡くなってしまうのかと思いましたが(フラグ立ちまくってた)、死ななくて本当に良かったです!
韓国ドラマは、(ラブコメ作品以外)主人公側の人間が死ぬパターンが多いので、本作品でも、またそのパターンか!と思いましたが、いい意味で裏切ってくれてひと安心しました(*^^*)
そして、もう一人の箸休め的存在は、ヒソン(ヒョンス)とジウォンの娘のウナですね!
パパ大好きなウナの笑顔は、本当に可愛かったー!(*^^*)
サスペンスで息が詰まる作品の中で、癒しの存在でした♪
あとは、子供時代を演じた子役が、大人時代のキャスト陣の顔とみんな結構似ていてビックリしました。
特に、ヒョンスの子供時代を演じたパク・ヒョンジュンとヒソンの子供時代を演じたチョン・テクヒュンは、イ・ジュンギとキム・ジフンに、それぞれ似ているなと思いました。
最終話でヒソンに撃たれた影響で(銃弾が頭をかすった)、ヒョンスが記憶喪失になってしまった展開にはビックリしました。
最後の最後で、韓国ドラマあるある出さないで!って感じでした…。。
ただ、私が一番好きなシーンは、結局その記憶喪失になってからの場面でした^^;
ということで、私のお気に入りシーン☆
ヘスの裁判で、村長の甥に証言をお願いしに行くシーンです。
甥が不在なので、帰宅を2人で待っていると雨が降ってきます。
ジウォンが優しく微笑みながら雨を眺めていると、ヒョンスは「雨が好きなんですか?」と聞き、ジウォンは静かに頷きます。
きっと、ジウォンは、あの初デートの時の雨を思い出しているんだろうな、と思いました(*^^*)
そして、そんなジウォンを見つめるヒョンスの瞳も優しくて――。
ジウォンのことを覚えていなくても、心の奥の方には絶対潜在的に残ってるんだと思いますね。
こんな優しい眼差しで見つめるヒョンスは、もう人の痛みや気持ちが分からないサイコパスなんかじゃありません。
ですが、この後、過去に自分が"ジウォンは見たいものだけを見る。ジウォンは扱いやすい"と言っていたことが頭の中に流れてきて、ハッとし、途端にヒョンスは苦しそうな表情を見せます。
この表情のギャップも好きでした。
自分の気持ちに戸惑っていることがよく分かります。
本当、イ・ジュンギの感情表情の演技が大好きだと再認識させられましたね(*^^*)
ストーリーは、全体的には良かったですが、ところどころやっぱりツッコミどころはありましたね。
(ヒソンの呼吸器を外したのに奇跡的に目覚めるところとか、ヘスはヒソンのことが分かったのにヒソンはヘスのことを分からなかったところとか、ヘスが無罪になるところとか…)
ちょっとご都合主義だと感じるシーンも見られました。
ですが、イ・ジュンギファンじゃなくても十分楽しめるしっかりとした脚本だと思いました(*^^*)
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